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概要
甲状腺疾患に対する手術は、首の中央に6-8cm程度の皮膚切開をして行うのが一般的です。しかしながら甲状腺の病気は女性に多く、首の常に見える場所に残る手術の傷は美容上切実な問題となることがあります。そこで当科では、首に傷を残さない内視鏡補助下甲状腺手術(Video-assisted neck surgery, VANS法)を2009年より導入しています。これは、開襟のシャツで隠れる前胸部の外側に3 cm程度の皮膚の皺に沿った皮膚切開を行い、首には内視鏡を挿入する5 mmのわずかな切開だけを作製します。この切開部位より内視鏡を挿入し、側方から皮膚を器械で持ち上げ、適切なエナジーデバイスを用いてハイビジョンモニタ下で行っております。
現在の甲状腺内視鏡手術の適応は、
1)長径60mm程度までの良性結節性甲状腺腫
2)片葉切除で根治切除が可能な乳頭癌 sT3N1a-1Ex1bまで
3)CTで容量60 ml以下のコントロールされているバセドウ病
としております。2024年までに500例以上を経験しており、合併症の発生頻度は通常の外切開と同程度の頻度であるという安全性が確認されました(当科の大原が英文雑誌に報告2024年)。手術時間は片側の手術の場合で2時間から2時間半程度であり、これは通常の手術より30分程度長い時間です。
入院期間は通常5-7日です。
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